2024年の締めくくりに観た映画『はたらく細胞』。一言で言うなら「面白い」。しかし、この映画の魅力はただ面白いだけではない。映画としての完成度が非常に高く、観客の心をしっかりと掴んで離さない!
まず特筆すべきは映画としての構成力。ただありがちなドラマを並べただけの作品ではなく、映画という限られた尺の中で物語を丁寧に紡ぎ出している。原作ファンとしても大満足の内容で、ここまで原作崩さず実写化できるのかと感動を覚えるほど。不満要素はほとんどなく、むしろ原作の魅力をさらに引き立てるような演出や脚本が光っている。
また、この映画は難しいテーマを扱っているが、初めて観る人にもわかりやすく作られている点がかなりポイント高い。コメディ要素とアクション要素が巧みに組み合わされ、日常のパートにそれらが綺麗に溶け込ませている。こうした多面的な魅力が観客を飽きさせず、物語に引き込む大きな要因となっている。
とはいえ、この映画のテーマは重い。病気や生死という現実的かつ深刻な話を描いているため、観る人によっては精神的に負担となる可能性もある。特に、現実の自分や身近な人々の状況と重なる場合、この映画を最後まで観るのは難しいかもしれない。途中退席するという選択肢もやむを得ないと思う。子どもが観る場合には、大人が内容をしっかり把握してから判断する必要があるかも。
それでもこの映画は総じて良い作品。個人的には2024年最後にこの映画を観られたことがうれしい。エンターテインメントとしてもテーマの深さとしても心に残る一作。観終わった後に、自分自身の体や日常を少しだけ大切に思えるようになる。そんな余韻を残してくれる映画。