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『HERE 時を越えて』を観ました

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恐竜が駆け抜け、氷河期を迎え、オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。やがてその場所に家が建てられ、いくつもの家族が入居しては出ていく。1945年、戦地から帰還したアルと妻ローズがその家を購入し、息子リチャードが誕生する。世界が急速に変化していくなか、絵を描くことが得意なリチャードはアーティストを夢見るように。高校生になったリチャードは別の学校に通う弁護士志望のマーガレットと恋に落ち、2人の思いがけない人生が始まる。

 

 

『HERE 時を越えて』を観た。
結論から言えば、個人的にぶっ刺さった。

 

この映画は、一つの場所ただそれだけ。ずっと同じアングル、同じ定点。でもその一点を通して、地球誕生から現代までが淡々と映される。


恐竜が歩き、鳥が舞い、人が暮らす。時系列は前後しまくる。最初は戸惑う。脳がついていかない。「今どこ?いつ?」が常に揺らぐ感覚。

 

でも、だんだんとその飛び飛びの時の中に流れがあることに気づく。
この映画は1945年からその場所に住む家族の物語。彼らの暮らしが、点在する断片の中で確かにつながっていく。


出会いがあり、別れがあり、それらが過去の記憶と重なっていく。
似たようなことが、過去にも未来にも繰り返されている。

 

あのラストの演出には、心を奪われた。ドラマチックな盛り上がりなんて一切ないのに、静かに、確かに、感情を持っていかれる。


ただの「部屋」を見ているだけなのに、その場所がいくつもの時間を吸い込み、吐き出しながら永遠に近いものを映している。

 

作品としては非常に好みが分かれると思う。
盛り上がりもない。派手さもない。むしろドキュメンタリーのような静けさ。
でもこの地味さの中に、すべてが詰まっているような気がした。

 

人にはあまり勧められない。でも、自分にとっては間違いなく、静かに大切にしたい一本。
そういう映画に出会えたことが、なんだかうれしい。