相楽美咲、片石優花、阿澄さくらの3人は、東京の片隅に建つ古い一軒家で一緒に暮らしている。それぞれ仕事、学校、アルバイトへ毎日出かけていき、帰ってきたら3人で一緒に晩ごはんを食べる。リビングでおしゃべりをして、同じ寝室で眠り、朝になったら一緒に歯磨きをする。家族でも同級生でもない彼女たちだったが、お互いのことを思いあいながら、楽しく気ままな3人だけの日々を過ごしている。もう12年、ある理由によって強い絆で結ばれてきた3人には、それぞれが抱える“片思い”があった……。
映画『片思い世界』を観た。
タイトルだけ見て「ああ、こういう感じの切ない恋愛モノかな」と勝手に脳内で組み立てていた。
でも始まってみると「そうか、そうきたか」
いい意味で裏切られた、でも途中からはほんとに普通の映画。
それがまた、いいんだか悪いんだか。
正直、中盤は賛否ありそう。
なくてもよかったような気もするし、でもなかったらなかったで物語が薄っぺらくなる気もする。
「この空白を埋めるにはこれくらいの尺が必要だったのかもしれないな」と思ったりもする。
設定の粗も目につく。
ドアって開けられないんじゃなかったっけ?
じゃあ家の中とかどうなってるの?みたいな疑問はスルーするしかない。
この映画は設定ありきだから、深く突っ込んだら負け。
それでラストに向かう展開は割と怒涛。
あれよあれよという間に物語が進んで、思ったよりあっさりとした終わり方。
でも、それがなんか妙にリアルだった。
「銃を登場させたら撃たなきゃいけない」って言うけど、別に撃たなくても人生は進む。
伏線は回収されないまま終わることもある。
人生って、そんなもんかもしれない。
ちなみに彼女らは幽霊。
幽霊だけどちゃんとそこに存在していた。
それだけでちょっと泣ける。
合唱のシーンでガチ泣き。
多分自分のコンディションもよかったんだと思う。
でもそれ込みで、ちゃんと良い映画だったと思える一本。
静かで、優しくて、刺さる(表現よくないぞ)映画だった。おすすめです。