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飛び込んだ朝 - 夢【25/5/12】

今朝方なんとも奇妙でそれでいて妙に鮮明な夢を見た。
夢の中で、なぜか自分から進んで宇宙のどこかにあるブラックホールへ飛び込んでいた。

 

ブラックホールを抜けた先にあったのは不思議な法則で成り立つ世界。そこではある一定の年齢に達すると、それ以上は歳を取らなくなるらしい。しかもその住人たちは、僕らが暮らす「こちら側」の世界のことをよく知っていた。それもそのはず彼ら自身もかつてはこちら側にいた人間なのだという。ただし情報は一方通行。こちら側から向こうへは伝わるが逆はない。そんな一方的な関係の中、夢の中の僕はどこかで見たことのあるような顔の住人たちから自分のことをよく知られているという状況にうっすらと背筋が寒くなるような感覚を覚えていた。

 

その世界にいたのは、若い頃の友人たち。歳を取らないままそこにいて、さらには子供の頃にテレビで見た今はすっかり姿を消したタレントたちまで歩いている。懐かしさと非現実感が混じり合い、まさに夢らしい空間だった。

 

やがて「ああ、これは夢なんだな」と自覚する。その瞬間、不意に「ホワイトホール」なる概念が出現した。それまで夢の中にはまったく登場していなかったのに、急に現れて、向こう側の世界と僕がもともといた世界とを繋げてしまった。

 

繋がった瞬間、全てが変わった。向こうの世界は、それまでの独自の文化や静かな秩序を保っていたがこちら側から流れ込む情報の洪水に一気に飲み込まれてしまった。何もかもが同じようになっていき、あの世界のアイデンティティは、みるみるうちに薄れていく。夢の中の僕は、その様子をただ呆然と眺めることしかできなかった。

 

…というところで、目が覚めた。

 

目を開けても、まだ夢の余韻が頭にこびりついていて、ぼんやりと考える。「なるほどな。『昔はよかった』なんて言う人の気持ちも、少しはわかるかもしれない」と。

 

夢の中のあの世界は、情報から隔絶されていたからこそ、どこか安定していた。変化がなかったからこそ、ある種の秩序と平穏が保たれていたように感じた。それが外の世界と繋がった瞬間にあっという間に失われてしまった。


古き良き時代を懐かしむ人たちはあの穏やかで単純な世界――情報が今ほど溢れていなかった頃の、あの密度や独自性を心のどこかで求めているのかもしれない。

 

もちろん、夢で見たことと現実は違う。でも、そんなことをふと思わされた、今朝の目覚めだった。