日が暮れてから、ふらっと散歩に出かけた。
なんとなく気分で普段はあまり足を踏み入れないような街灯もまばらで先がよく見えない路地裏へ入ってみた。まあ、最悪迷子になってもGoogleマップ先生がいるし大丈夫だろうと高を括って。こういうちょっとした冒険心っていくつになっても楽しいものだ。
そんな感じでうろついていたらなんとも奇妙な道路に出くわした。
路面には大きく白い文字で「止まれ」と書かれていて停止線もちゃんと引いてある。なのに重要な「止まれ」の交通標識がどこを探しても見当たらない。支柱一本すら立っていないのだ。
「あれ? これって単なる設置忘れ? それとも何か深い理由があるのか?」と、一瞬頭がハテナマークでいっぱいになった。
気になって後で調べてみると驚いたことにこういう「路面表示はあるけど標識はない」という一時停止箇所は、全国的に結構あるらしい。
そして道路交通法上、一時停止の義務が生じるのはあくまで「標識」が設置されている場合のみだそうだ。
つまり路面に「止まれ」と書いてあっても物理的な標識がなければ法的には止まる義務はない、ということになるらしい。標識こそが法の正義、というわけだ。逆に、もし標識はあるのに停止線がない道があったら(そんな道あるのか知らないけど)そりゃ止まらなきゃいけない、ということにもなる。
いやはや、道路交通法って本当にややこしい。
だからこそ「標識が街路樹に隠れて見えなかったから違反じゃない」なんて主張が出てきて揉めるんだろうなと思う。
免許持っててそこそこ勉強しているはずの自分ですら「へぇ、そうなんだ!」ってなるくらいだから自転車に乗る人たちにとっては、もっと複雑で理解しづらい世界だろうなと感じた。
一時停止のルールひとつとってもどこまで正確に理解しているんだろうか。
とはいえ「標識がないから止まらなくていい」という話にはもちろんならない。
安全のためには、標識があろうがなかろうが危険な場所では止まるべきだし、周囲をよく確認するべきだ。
ただ、法律上はそういうことらしい、という一つの発見に過ぎない。
自転車も使い方次第では立派な「凶器」になり得る。
乗る以上は交通ルールをちゃんと勉強し安全に注意してほしいものだ。
そんなことを、夜の薄暗い路地裏で一人、ぼんやり考えていた。