腹が痛い。
こういう時決まって思うことがある。いっそのことお腹の中にあるものを全部出し切って空っぽにしてしまいたいと。そうすればこの不快なものが一切なくなった体はきっと完全に元通りになるはずだっていう一種の幻想を抱いてしまう。
とはいえだからといって薬局に走って下剤を買ってきて飲むなんていう短絡的なことはしない。あれはあれで脱水症状になったり余計に気持ち悪くなったりするから結局は本末転倒。つまりひたすらこの不快感が過ぎ去るのを待つしかない。
…なんてことを腹の鈍痛に耐えながら考えていたんだけど続けてふと、とんでもなく突拍子もない考えが頭をよぎった。
ソーセージっていう料理を最初に思いついた奴控えめに言ってかなり気持ち悪くないか?と。
動物の腸というまさに今自分が不快感を感じているこの器官に細かくした肉とかを詰める。そしてそれを茹でたり焼いたりして食べる。
どゆこと??
その発想は一体どこから来たんだ。誰がどんな状況で最初にこの腸なかなかしっかりしてるな。これに肉を詰めてみたら保存も効くしうまいかもなんて思ったんだ。その感性ちょっと正気とは思えない。
自分の腹の不快感のせいでやけに腸というものに意識が向いてしまった結果のなんとも奇妙な連想ゲーム。
でも改めて考えてみればソーセージってとんでもない発明だよな。冷静に考えたらグロテスク一歩手前の行為を世界中の人々が愛する美味しい料理にまで昇華させた人類の食への探求心。恐るべし。
そんなことを考えていたら少しだけ腹の痛みが紛れたような、いや、やっぱり気のせいか。