水曜日。週の真ん中にして今日のメニューはなかなかにハード。
胸のトレーニングと、高強度のランニング。淡々とこなすべきことをこなす。
外はもうすっかり冷え込んでいる。Tシャツ一枚で外に出ると肌を刺すような空気の冷たさに思わず身震いする。それでも走り出す前のウォーミングアップで体を温め覚悟を決めて走り出した。
走り始めてしばらくすると冷たい空気が肺を満たしそれと引き換えに体の中から熱が生まれてくるのを感じる。そして吐き出す息がはっきりと白いことに気づく。ああもうそんな季節か、と。秋を通り越してもう冬の入り口に立っているようだ。
今日の高強度ランはいつもの坂道でのダッシュを8本。一本一本、全力で坂を駆け上がる。心臓がバクバクと鳴り脚は鉛のように重くなる。そして坂の頂上で立ち止まりハァハァと激しく肩で息をするたびに口からは大量の白い息がまるで蒸気機関車のように吐き出される。普段のジョギングではここまで大量の白い息が出ることはないと思う。
そのもくもくと立ち上る自分の白い息を眺めていたら、ふと考えが頭をよぎった。
「ああこれって、体の中の脂肪がガンガン燃えてエネルギーに変換されその最終生成物である二酸化炭素と水蒸気になって外に出ていってるのが可視化されてるんじゃないか?」と。 科学的に完全に正しいかどうかは分からない。でもなんだかそんな気がした。まるで自分の努力が目に見える形で報われているようなそんな感覚。そう考えたらこの地獄のようにキツい坂道ダッシュも、なんだか少しだけ報われるような気がして、モチベーションがぐっと上がった。白い息は脂肪燃焼の狼煙だ、なんて。
とはいえだ。 そんな精神的な高揚感とは裏腹に体の方は正直。トレーニングを終えた今かなり疲労困憊している。体が重いし頭も少しボーッとする。白い息を見て「脂肪が燃えてる!」なんて喜んでいたけれど同時に体は確実にエネルギーを使い果たし悲鳴を上げている。
ここで油断して栄養補給や休息を怠るとどうなるか。せっかく燃やした脂肪以上に大事な筋肉までが分解されてエネルギーにされてしまう。それでは元も子もない。トレーニングの効果を最大化するためにはその後のリカバリーまで含めて一つのセット。
だから今日はちゃんとご飯を食べてタンパク質もしっかり摂ってそして何より早く寝る。それが今の自分に課せられた重要なミッション。白い息の発見というささやかな喜びを胸にまずは体をしっかりと回復させよう。