新年早々あまり景気の良くない話だけれど日本のプロ野球の未来について考えるとどうしても暗い予感しかしない。きっかけはやはり大谷翔平だ。彼がドジャースに移籍してからMLBの試合をフルで観る機会が格段に増えた。そこで目の当たりにするのはパワー、スピード、技術、そしてエンターテインメントとしての規模感すべてにおいてNPBとは次元が違うという残酷な現実。最高峰の戦いを見た後に日本の試合を見るとどうしてもスローモーションに見えてしまう。 NPBはMLBの下部組織、あるいは育成リーグに成り下がった そんな極論を否定できない。
その構造を決定づけているのがポスティング制度だ。日本で手塩にかけて育てたスター選手を全盛期の一番いい時期に向こうの資金力からすればはした金のような譲渡金で吸い上げられる。向こうは完成品を安く買い叩きこちらはスターを失って空洞化する。これはもうスポーツ交流なんて綺麗な言葉じゃなくて合法的な「搾取」のシステムだ。ファンとしては選手の夢を応援したいけれどリーグ全体で見れば衰退へのアクセルを踏んでいることに他ならない。
そしてもう一つの絶望、国内の足並みの揃わなさ。特に広島。ユーザーの利便性を考えれば全12球団の試合が一つのプラットフォーム(例えばDAZNや今回WBCで参入したネトフリなど)で観られるのが当たり前。今の時代ネットで全試合観られないなんてインフラとして欠陥があると言っていい。しかし広島の球団だけが頑なに地元テレビ局や独自の権利に固執し包括的な配信契約に応じないケースが多い。地元密着と言えば聞こえはいいがそれはグローバル化デジタル化する現代において衰退する地方経済と心中するようなもの。世界中どこからでもアクセスできる環境を作らなければ新規ファンなんて増えるわけがない。1球団のエゴでリーグ全体のネット戦略が阻害されている現状はまさに鎖国だ。
DAZNが中継に参入したのは黒船が来たようなチャンスだったはず。世界的なプラットフォームに乗れば日本の野球もまだ生き残る道があったかもしれない。でも広島がいる限り12球団一括の放映権ビジネスは成立しない。この「11球団+1」の歪な構造が解消されない限りNPBは世界から取り残されガラパゴス化したまま沈んでいく運命なのだろう。
くそと吐き捨てたくなる気持ちも分かる。最高峰のMLBを知ってしまった僕たちはもう昔のように無邪気にNPBを楽しめない体になってしまったのかもしれない。