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数十億の親戚【26/1/27】

タンパク質補給のためにヨーグルトを口に運ぶ。そのスプーンの上に乗っている白い塊を見つめながらふと奇妙な感覚に襲われた。ここに含まれる数十億の菌とそれを食べている僕。大きさも構造も違うけれど生命の歴史という絵巻物を15億年以上巻き戻せば、僕らは確かに同じ共通の祖先から枝分かれした親戚同士なのだ。

 

調べてみるとその分岐点はあまりにドラマチックで少しだけ皮肉。太古の昔光合成をする細菌を取り込み太陽光というフリーエネルギーを手に入れた勝ち組が植物になった。 一方でそれを取り込めなかった負け組はエネルギーを確保するために他者を捕食し動き回るしかなかった。それが動物の始まりだ。つまりジムで重いバーベルを持ち上げ筋肉を動かしているのは遠い先祖が光合成の能力を得られなかった結果のあがきだとも言える。動かなければ死ぬ。その呪いは数十億年経った今もDNAに刻まれている。

 

そして進化の話で最も背筋が凍るのはがん細胞の正体だ。あれは外部からの侵略者ではなく多細胞生物としての調和という契約を破棄し「俺だけ増えればいい」という単細胞生物時代の野蛮な本能を取り戻した先祖返りなのだという。

宿主が死んでも増え続けるヒーラ細胞のように彼らは生命のシステムにおけるバグでありながらある意味で最も純粋な生への執着を体現しているのかもしれない。

 

蓋を開けたヨーグルトの中にいる細菌は40億年前に分かれた遠い祖父のような存在だ。 科学的には間違いなく親戚。 けれど彼らの小さな体には赤い血なんて一滴も流れていない。

血が繋がっているのに血が流れていない。

僕らを結びつけているのは温かい液体ではなくDNAという乾いた情報の螺旋だけ。そんな矛盾を飲み込みながらスプーンを口に運ぶ。

壮大な進化の果てにこうして親戚同士で共食いをしている今の自分が少しだけ滑稽でそして孤独な存在に思えた。