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同調圧力という名の空気【26/1/31】

数年前、僕たちは本気で信じていた。

「これからは好きな場所に住み、世界中のどこからでも働ける時代が来る」と。

しかし2026年の今、目の前にある現実はどうだ。都心へ向かう電車はコロナ前と変わらぬ密度で人々をオフィスという名の物理的な箱へと運んでいる。なぜこうして再び出社という旧時代的な行為に回帰しているのか。その裏には少しスリリングで冷徹なデジタル時代の信頼の崩壊がある。

 

企業が語るコミュニケーションの活性化という理由は表向きの建前。急速なオフィス回帰の真の動機はもっと切実ななりすましの脅威にある。北朝鮮のIT技術者が身分を偽ってリモートワークで日本企業に潜り込み外貨を稼ぐ。あるいは協力者の家にPCを並べる拠点を経由しあたかも国内からアクセスしているように偽装する。こうしたデジタル空間の詐欺が現実のリスクとなった今、企業が出した最強の解決策は物理的な身体の確認だった。

 

生体認証もVPNも結局はデジタルである以上破られる可能性がある。だが社員証を首から下げオフィスのゲートをくぐり上司の目の前の席に座るという行為は偽装が不可能だ。身体性こそがデジタル時代の究極のセキュリティファイアウォールになってしまった。僕たちのどこでも働ける自由は企業の性善説という脆い基盤の上に成り立っていたに過ぎず信頼というコストが維持できなくなった瞬間システムは物理監視へと強制的に巻き戻された。

 

世界を見渡せば米国のテック巨人は週5日出社という合理的なムチを振るう。対する日本は解雇が難しい代わりに同調圧力という名の空気でなし崩し的にオフィスへ連れ戻す。手段は違えど行き着く先は同じ集結だ。こうなると住まいの価値観も180度変わる。週に何度も通うとなれば往復2時間の通勤は人生の浪費でしかない。結果都心のタワマンは時間を金で買える層の要塞となり僕たちは現実的な最適解への集中を余儀なくされる。

 

埼玉で言えば大宮、浦和、川口。あるいは始発駅である所沢や川越。

ドア・ツー・ドアで1時間以内 座って行ける。

この条件を満たすエリアに再び人が殺到しそこから外れたエリアは出社という重力圏から振り落とされつつある。職住近接という四字熟語が2026年の今これほど重く響くとは思わなかった。

 

PC画面の向こうに広がっていた無限の自由という夢から覚め僕たちは今日も物理的な身体を引きずって改札を抜ける。

皮肉なものだがセキュリティゲートの「ピッ」という電子音こそが自分が社会の構成員として正当に存在しているという、最も確かな証明になってしまったのだから。