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花粉税【26/2/20】

薄々は気づいていた。

まだ冬の寒さは居座っているが空を舞うヤツらは確実に僕の粘膜へと着弾を始めている。今のところ鼻はまだ静か。だが目は潤み理由のない涙が滲み始めている。痒みという名の爆弾が炸裂する一歩手前。この感覚こそが2026年という新たなシーズンの幕開けを告げるスギからの不吉な招待状。

 

経験から学んだ法則がある。僕にとってのスギは目と肌への攻撃に特化している。そして後からやってくるヒノキがそこへ鼻水という重火器を投入してくるのだ。

今はまだ一対一のデュエルで済んでいるがやがて敵は増援を呼び二対一の卑怯な波状攻撃を仕掛けてくる。毎年繰り返されるこの不条理。自然の摂理とはいえこれほどまでずるいと思う季節の移ろいも他にない。

 

ふと耳鼻科の前を通りかかればそこには待合室から溢れんばかりの人だかりがあった。 誰もがこの見えない暴力に抗うための武器を求めて並んでいる。考えることは皆同じだ。けれどあの絶望的な待ち時間に耐えられない僕は結局ドラッグストアへと足を向け棚に並ぶ高価な市販薬を手に取る。

 

千円札が数枚まとめて飛んでいく。一度使い始めればこのシーズンが終わるまで財布からは継続的に金が流出し続ける。

「これはもう税金と同じではないか」

誰かに強制されているわけではないが払わなければ生活の質が著しく損なわれる。避けては通れない「花粉税」。 行政に納める税金とは違いこれには何の控除もなければ還元される実感もない。ただ平穏な呼吸と視界を買い戻すためだけの切実な身銭。

 

空はどこまでも高く澄んでいる。一見すれば美しい春の訪れだがその青さの裏側に潜む無数の税収を思うと鼻の奥が少しだけツンと痛んだ。

二対一の本格的な乱闘が始まる前にせめてこの涙を単なる季節の挨拶としてやり過ごしたい。