今日という一日は図らずも暴食という名の快楽に塗りつぶされた。
とはいえ理性を完全に失った極端なカロリーオーバーではなく主食や脂質の影でタンパク質量が置き去りにされたという程度の綻び。しかし肉体は驚くほど正直にそして即座に反応を示す。乗り込んだ体組成計の液晶。そこには非情にも上方に振れた体重と体脂肪率の数値が並んでいた。
短期的な視点で見ればこれは明らかな敗北の記録だ。だがダイエットという長大な物語を一年、365日というスパンで均してみれば今日一日の跳ね上がりなど単なる誤差に過ぎない。そう自分に言い聞かせ一時的な動揺を理性の奥へと押し込める。大切なのはこの誤差を常態化させないための次の一手だ。
夜の帳が下りる頃再び規律を手に取る。これ以上の過剰摂取を食い止めるため空腹感を誤魔化すようにプロテインをちびちびと口に運ぶ。チートデイというすべてをぶち壊す魔法の言葉に逃げ込む前にこの満腹感こそが今の自分には必要だったのだとなかば強引に肯定してみる。物理的な栄養の過不足よりも今は踏みとどまったという自覚こそが、精神の安定を担保してくれる。
数値の変動は一晩の睡眠でリセットされる性質のものではない。しかし心地よい眠りにつくことができれば自律神経は整い明日の朝には再び管理可能な日常が戻ってくる。
今日の失敗を消化し筋肉への修復資材に変換するために。今はただプロテインの微かな甘みとともに穏やかな眠りの底へ沈んでいけることを願っている。
結果オーライ。と言いたい。