埼玉県警の移動式オービス盗難のニュースを見た。
第一印象は「そんなことあるのか」。
移動式オービスというのは速度違反を取り締まるための機材だ。一般市民からすれば警察が管理している高価で重要な装置という認識しかない。その機材が盗まれる。
字面だけ見ると少し間の抜けたニュースにも見える。だがよく考えると笑い話ではない。
警察という組織は治安維持のための最後の砦として存在している。もちろん警察官も人間だからミスはする。しかしその警察自身が管理している機材を盗まれたとなればでは誰が守るのかという疑問が生まれる。
だから多くの人が違和感を覚えるのだと思う。
一方でちゃんと公表しただけマシという意見もある。
確かに隠蔽せず発表したこと自体は評価されるべきだろう。組織として不祥事を認めるのは簡単なことではない。ただそれと信頼の問題は別。公表したから信頼が維持されるわけではない。
むしろ公表されたことでそんな管理体制だったのかと初めて知る人もいる。
税金で運営されている以上どういう経緯で盗まれたのかなぜ防げなかったのか今後どう再発防止をするのかについて説明責任が生じるのは自然なことだと思う。
最近は太陽光発電設備のケーブル盗難や室外機盗難などのニュースも珍しくなくなった。
防犯カメラを付ける。センサーライトを付ける。鍵を増やす。
市民側が自衛のために追加コストを負担する場面も増えている。
だからこそ防犯を担う側の失敗には厳しい目が向く。もちろんだからといって自警団を作るべきだとか警察が不要だという話にはならない。
治安維持を個人や民間だけで担う社会はそれはそれで別の問題を生む。
ただ警察がいるから安心という前提が少しずつ揺らいでいることは確かかもしれない。
今回の件は被害額そのものよりも象徴的な意味が大きい。
盗まれたのが単なる機材ではなく警察なら大丈夫だろうという信頼の一部だったからだ。だからニュースとしては少し滑稽に見えてもその奥にある問題は意外と重い。
笑える話のようでいて実はあまり笑えない。
そんな種類のニュースだったように思う。