ナマケモノについて調べていたら思わず「へぇ」と声が出るような事実に出会った。
木にぶら下がってのんびり暮らしているナマケモノはみんな同じ仲間だと思っていた。しかし実際は違う。指が3本のミユビナマケモノと、2本のフタユビナマケモノは見た目こそよく似ているものの遺伝的にはかなり遠い存在らしい。人間とニホンザルくらい離れているというのだから驚き。
それぞれ別々の祖先から進化したにもかかわらず木の上で暮らすという同じ環境を選んだ結果、似た姿にたどり着いた。「収斂進化」という現象。
見た目だけでは区別がつかないのに中身はまるで違う。ミユビは穏やかな性質なのに対しフタユビは鋭い犬歯を持ち意外と気性が荒いという。このギャップだけでも十分面白い。
さらに驚いたのが首の骨の数だった。
哺乳類の頸椎はキリンでもクジラでも人間でも基本的に7個。体の大きさや首の長さが違ってもこのルールだけはほとんど破られない。
ところがナマケモノはその例外だった。
ミユビナマケモノは首の骨を増やし首を大きく回せるようになった。一方でフタユビナマケモノは逆に骨を減らしている。
普通の哺乳類なら頸椎の数が変わることは発生異常や病気と深く関係し生き残ること自体が難しいとされている。それなのにナマケモノは極端に代謝の低い生活を送ることでそのリスクを乗り越えてしまったらしい。
哺乳類の絶対ルールを何事もなかったかのように飛び越えている。
見た目は一日中木にぶら下がっているだけののんびりした動物。
でもその進化の歴史を知ると印象は一変する。
近いように見えて実は遠い。
守られていると思っていた常識からも外れている。
ゆっくり動く姿とは裏腹に彼らは誰よりも大胆な進化を選び生き残ってきた。
普通に縛られないということは案外こういうことなのかもしれない。
ナマケモノは怠け者どころか哺乳類の常識を書き換えたとんでもなく個性的な存在だった。