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古傷【24/12/31】

猫に噛まれた。だいぶ前のことだと思っていたけど、実際は1か月ほど前の話だった。その傷がまだ治らないのは明らかに年齢のせいだろう。若いころなら数日で治っていたはずが今では治る気配がのんびりとしか訪れない。身体が確実に古くなっているのを感じる。

 

それでも自分の感覚は妙に若いままだ。時間の流れが速すぎて1か月前の出来事が「昨日のこと」のように感じられる。ここで思い出すのが「ジャネーの法則」。心理学によれば年齢を重ねるほど時間が速く感じられるのは時間の感覚が年齢に反比例するからだという。10歳にとっての1年は人生の10分の1、50歳にとっては50分の1。だから年齢を重ねるほど1年があっという間に感じるのだそうだ。

 

時間がどんどん速く過ぎていく一方で、傷の治りだけが遅いと感じるのは何とも皮肉だ。感覚的には若いままのつもりでも、身体は確実に年齢を刻んでいる。

 

このズレこそが身体と心のギャップなのだろう。感覚だけが若いころのまま取り残されている。そのギャップに戸惑いつつも少し笑えてしまう自分がいる。

 

時間の流れを速く感じるのも身体が回復に時間をかけるのもどちらも自然なことだと思うようにしている。傷は少しずつ治り、感覚も少しずつ今の自分に追いついていく。年を取るとは、こうやって自分を受け入れる過程なのかもしれない。

 

そうして今年もあっという間に終わろうとしている。もう一年が過ぎ去った。けれど、日々の中で気づいた小さな変化や自分を取り巻く時間の速さを面白がれる余裕を持てたのは大きな収穫だった。

そう思ってこの日記を締めくくりたい。