ミスチルの「my life」の詞に「62円の値打ちしかないの僕のラブレター」ってのがある。これが発表されたのは1993年。当時は62円で便箋が送れた時代だ。だけど、それから31年経った今、62円じゃハガキすら届かない。そんな現実を思いながらこの曲を聴くとなんだか少し切なくなる。
手紙を最後に書いたのはいつだっただろう。思い出そうとしても全然思い出せない。そんな話を母にしたら「昔、おばあちゃんに書いた手紙があるよ」と言った。それは小学生のときに書いたもので、たぶんそれが人生最初で最後の手紙だった気がする。
そして気づいた。自分、ラブレターを書いたこともないし、もらったこともない。電子メールの時代になっても、そこだけは変わらなかった。62円の値打ちどころか、そもそも「ラブレター」という存在が人生に一度もなかったことに、ちょっと驚く。
ラブレターってさ、気持ちを紙に書いて、封筒に入れて、切手を貼って送る。その一連のプロセスそのものが「想い」なんだろうね。だけど今の時代はLINEやメールで一瞬で送れるしやりとりも簡単。それが便利なのは間違いないけど、どこか軽くなっちゃっている気もする。
「62円のラブレター」。当時の桜井さんは自虐的に歌ったのかもしれないけど、今の時代ではそれだけでも十分尊い気がする。僕には62円のラブレターすらなかった。ただそれだけのことなんだけど、どうしてこんなに切ないんだろう。ね。