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食文化と矯正【25/7/11】

昔の学校給食のことを思い出した。


自分の育った地域では冬になるとおでんと白米がセットで給食に出てくることがあった。今でこそいやいやおでんをおかずに白米は合わないだろなんて言うグルメな人もいるけど当時はそんなこと誰も気にしていなかった気がする。

 

問題はその組み合わせじゃない。その食べ方。
ある日いつものようにおでんの汁ごとアツアツの白米の上にかけていわゆるおでんぶっかけご飯にして、はふはふと食べていたらそれが一部のクラスメイトの目に留まり、問題視されなんと学級会議が開かれることになった。

 

議題はおでんをご飯にかけて食べるのは是か非か。
僕のその食べ方が「見栄えが悪い」「食べ方が汚い」という極めて主観的で曖昧な理由でクラスの裁判にかけられ糾弾された。

 

そして無情にも多数決の結果「当クラスにおいて白米におでんをかけて食べる行為はこれを禁ずる」という謎のローカルルールが爆誕。


バカげてる。こんな理屈がまかり通るならカレーライスをグチャグチャに混ぜて食べるのだってそのうち汚いから禁止にされかねない。さらに行き着く先は個人の自由な食文化そのものの否定じゃないか!と子供心に憤慨した。

 

で、ここから。
大人になった今ふと考えてみる。自分は家でおでんと白米を一緒に食べる時、果たしてぶっかけにしているだろうかと。
答えはノー。無意識のうちに、おでんの皿とご飯の茶碗をきっちり分けて行儀よく食べている。


あの日の学級会議で下された多数決という名の同調圧力が何十年という時を経てすっかり体に染み付いてしまっている。

 

これはもう一種の「矯正」であり見事な「洗脳」だ。
たかが給食の食べ方一つ。でもそれは今も自分の食生活に静かな呪いのように確かにこびりついている。